技術・人文知識・国際業務
2020年末の在留外国人数約288万のうち、いわゆる就労VISAとしては技能実習37万8千人につぐ28万3千人の在留者がいます。国内の留学生が就職する場合と、海外から主に大学卒の学歴で直接技術・人文知識・国際業務を取得する場合があります。
日本は単純労働を認めない建前ですので、このVISAは専門職という認識があり、学校での勉強内容と、就労先の仕事の内容に、十分な関連性がもとめられます。この関連性を踏みはずすと不許可になります。
上の関連性に関し、大卒と専門学校卒では違いがあります。大卒は大学での専攻にかかわらず「通訳・翻訳」ができ、専攻と仕事の関連性もある程度ゆるやかです。これに対し、専門学校の場合、履修内容と仕事の内容はぴったり合うことが求められます。
日本政府は留学生の増大を歓迎していますので、その延長上にある技術・人文知識・国際業務も、今後増大していくことが予想されます。
経営管理
日本で会社を設立するだけではこのVISAは取れません。以下の要件を必要とします。
① 事業の実態はあるか → すでに事業を開始してもよい。取引上の契約書や領収書等が証拠になる。しっかりした事業計画書を作成したい。
② 事業所の確保 → 自宅に会社登記して事業所にしたら不許可にる。
③ 従業員の確保 → 申請人はまだ経営管理資格がないので働けない。しかし事業の実態のためにすでに正社員を雇用していることが望ましい。
④ 資本金500万円の確保 → 500万円の合理的な形成過程の説明が必要。
とくにどんな事業をやるのかがポイントです。いきなりあれこれ手を出して複雑にしてしまうより、最小のシンプルな事業設計をした方がVISAがとりやすいでしょう。VISAをとったあとに事業を拡大していけばいいわけです。
よくあるのが自己流に会社を作り事業をはじめ、これが入管が嫌うような矛盾だらけになっている場合です。最初から経営管理VISAを取れるやり方があるのです。何も始めないうちにぜひご相談ください。
配偶者VISA
日本人と結婚した場合は「日本人の配偶者等」、永住者と結婚した場合は「永住者の配偶者等」をもらいます。定住者との結婚は「定住者」になります。ただし、公的機関からの結婚証を提出したからといってこれらのVISAはもらえません。
その理由は、現実に偽装結婚という問題があります。偽装結婚もちゃんと婚姻届けを出し、申請人の本国にまで行き結婚式をあげ写真も撮ります。つまり本当の結婚と見分けがつかないほど巧妙に仕立てられているのです。
よって配偶者VISAは、偽装結婚ではないという立証をしていくことになります。結婚した二人の出会いから、その後の時間の流れにそった交流事実を、写真やSNS履歴等を使って綿密に証明していくのです。
家族滞在
就労資格者が本国から妻子を呼ぶためのVISAです。就労資格者を「本体」と呼び、その被扶養者が「家族滞在」という位置づけです。
よって家族滞在者がアルバイトで就労資格者並みにかせぐと、もう家族滞在者とはいえなくなります。また本体と別居することも許されません。
しかし本体の仕事と収入の証明をすれば、比較的取りやすいVISAといえます。
ただ注意したいのは子供の年齢です。たとえば海外から子供を定住者で呼ぶ場合、未成年という決まりがありますが、家族滞在には子供の年齢の定めはありません。しかし子供が18歳にもなると、家族滞在で呼ぶのはむずかしくなります。理由はこのVISAは被扶養者のためのものですが、18歳にもなれば独り立ちも可能だからです。また18歳なら「留学」という方法があると入管が考えるからでもあります。
留学
本国で高校卒業 →(留学)→ 日本語学校 → 専門学校、または大学(短大)というルートが一般的です。
ポイントは日本語学校の入学許可証と学費の支払い領収書、そして本国の親などの経費支弁書と支弁者の在職証明及び収入証明、以上がしっかりしていれば、比較的取りやすいVISAと言えます。
しかしその後は決して甘くはありません。留学生は勉強が本分なので、学校の出席率が低すぎると、更新で不許可になります。アルバイトも絶対に週28時間以内です。これが疑われ、課税証明書など求められて、収入があり過ぎると、やはり勉強という留学生の活動をおろそかにしたということで不許可になります。
とはいえ微妙な問題として、今慢性的な日本の人手不足を救っているのが「留学生」という働き手だという側面があります。これは今都内のコンビニに行けば明らかでしょう。最初から就労目的で来日する留学生も少なくはなく、入管が頭をかかえるところです。